2,000円以下の最適解。もうこれ1本でいいよ。PILOTの万年筆『ライティブ』【レビュー】
安くて見栄えの良い万年筆を使いたい!
そんな人は多いだろう。
とはいえ低価格帯の万年筆はどこかデザインがちゃっちくて、カクノなどを外で使うのは難しい……。
そんな人にオススメしたい万年筆がPILOTから発売された。
その名はライティブ。
PILOT好きとしては飛びつかない訳にはいかず、さっそく買って一週間ほど使い倒した。
今回はそんなライティブのレビューを書いていく。
- 国産でラミーのようなデザインの万年筆ってあるの?
- カクノよりカラフルなボディの万年筆を使いたい
- スケルトンボディの万年筆で良いのある?
そんな疑問を持っている人の参考になるだろう。
結論から先に言えば、2,000円以下の万年筆の最適解だ。もうこれ1本あればいい。
PILOTのライティブは普段使いしやすい優等生な万年筆
PILOTのライティブは、「万年筆を常に持ち歩いて欲しい」という想いから、「LIGHT(軽い)」「ACTIVE(活動的)」のふたつの言葉を組み合わせて名付けられた。
その名の通り、思わず外に持ち出したくなるような軽やかなボディに仕上がっていて、時と場所を選ばずに使えるデザインとなっている。
特徴するべきは新仕様のインナーキャップ。
従来のものよりも機密性が確保されているため、インキの乾燥を防いでいる。
嵌合式ですぐに書けるのは便利なのだが、嵌合式はどうしてもネジ式と比べてもインキが早く乾いていた。
それを防いでくれるのは、素直に嬉しい。
さすがはPILOT。
気軽に使える大人の万年筆として、とてつもない完成度の商品なのだ。
PILOT『ライティブ』 レビュー
ではさっそくライティブをレビューしていく。
ライティブの基本スペックは以下の通り。
非常にバランスの取れたサイズなのは流石のPILOT。
ボディカラーは6種類
ライティブのボディカラーは6種類だ。
- アクティブイエロー
- アクティブネイビー
- アクティブレッド
- アクティブブラック
- アクティブホワイト
- ノンカラー
どうでもいいが、名前をタイピングしていると何だか戦隊モノのヒーローの名前を入力している気分になった。
カラーラインアップを見てもわかるように、大人がどこで使っても主張しすぎない色で構成されている。
自己主張が激しすぎないのは大人の嗜み。
ネクタイの色をオシャレに使うように、ワンポイントの自己主張として活用できるだろう。
なお、僕はノンカラーを選択。子供の頃にスケルトンボディのゲームボーイに胸をわくわくさせた身としては、選ぶ以外の選択肢は無かった。
ペン先は2種類
低価格帯の万年筆に良くあるように、ライティブのペン先のサイズも2種類だ。
- F(細字):0.5mm
- M(中字):0.7mm
後ろの数字はボールペンで換算した時の字幅だ。
万年筆の場合、これにインキのにじみが加わるので更に字幅が太くなる傾向にある。
PILOTの万年筆は特にその傾向が強く、インキの出が良すぎるので想像以上に太い字になることが多い。
だがちょっと待って欲しい。
ライティブは違う。
どうしてもM字幅が欲しくて買ったのだが、驚く事なかれ。細い。
いったいどうしたPILOT。いつものインキどばどばがないじゃないか!
物足りなく感じるほど、ライティブのインキの出は絞られている。
というよりも他のメーカーの万年筆と同じMの字幅になったと言うべきか。
試しに見て欲しいのだが、以下が同じM字幅のエリート95Sとの比較だ。
全然違うだろう?
今回に至ってはM字幅でも使いやすくなっているので、手帳に書き込みたい人でなければM字幅を買って問題ない。
カートリッジ・コンバーターの両方に対応
ライティブはカートリッジとコンバーターの両方に対応している。流石はPILOT。
しかもちゃっかり大型のコンバーター「CON-70N」も使えちゃうのだ。
PILOTといえば色彩雫だが、お気に入りのインキをライティブでも使えるのは本当に嬉しい。僕の深海が準備運動をしている。
ちなみにだが、ノンカラーのボディで使うとこうなる。
いやー、いいね。
やはりスケルトンボディにインクは栄える。
欲を言えば吸入式にして欲しかったが、それは望みすぎというもの。
カートリッジとコンバーター。
人によってはどちらが使いやすいかは様々であろうが、どちらのニーズも満たしてくれているのはありがたい。
もちろんPILOTの顔料インク『TSUWAIRO<強色(つわいろ)>』にも対応している。
ボディはプラスチックそのままの質感
ボディはを触ってみた感じはそのままプラスチックだ。
実際に持ってみるとわかるのだが、かなり軽い。
手に持った感覚で言うと、インクが入っている状態ですらセーラーのハイエースネオより軽い。
というかぶっちゃけボールペンより軽く感じる。羽毛でできてんのかライティブ。
ライティブを使っていて一番不満に感じる部分がそこで、どうにもチープさが拭えない。
とはいえ大人が気軽に使えることを目指しているのだから、こちらの方が正解なのだろう。
格式張ったデザインは使いづらいからね。
キャップは嵌合式だがインキが乾きにくくなっている
ライティブのキャップは嵌合式(キャップ式ボールペンのようなタイプ)だ。
高級万年筆のようにネジ式ではないので、書きたい時にさっと書ける。
万年筆はそのデザイン上、インキが乾きやすいという欠点を持っていて、ネジ式は空気をできるだけ入らないようにして乾燥を防ぐ意味合いを持っている。
一方の嵌合式はすぐに使えるのは利点なのだが、ネジ式と比べると空気が入り込みやすく、インキが乾燥しやすい欠点があった。
これらを解決したのはプラチナのプレジールのように特殊な構造だけだったのだが、PILOTも新仕様のインナーキャップにより実現し、いよいよ乾きにくい嵌合式を実現したわけだ。
同じ万年筆を使う人なら問題ないだろうが、複数の万年筆を日によって使い分けている僕のような人種には非常にありがたい。
使ってない内にインキが減っていくのは悲しいからね。
ライティブは複数の万年筆を使っている人でもある程度安心して使えるのだ。
まとめ:PILOTのライティブは万人にオススメできる優等生な万年筆
PILOTのライティブは、「気軽に使える大人の万年筆」というコンセプトを体現したかのような万年筆だ。
このクオリティで2,000円で販売されたら、1,000円クラスの万年筆を買う理由がほぼ無くなってしまう。無印の万年筆とか重たいだけに成り下がる。
豊富なボディカラーに、PILOTには珍しいインキの量を絞ったペン先。
カートリッジとコンバーターの両方に対応と、隙がなさ過ぎる。
唯一の欠点と言えばボディの材質をチープに感じるくらいしかなく、それも使っている内に気にならなくなる。
欠点らしいものが無い優等生な万年筆。それがライティブだ。
もちろん、社会人だけでなく学生にもオススメしたい。この使いやすさは勉強で使うと楽しくて止められなくなるだろう。
低価格帯の万年筆はライティブさえあればいい。
そんな気分にさせてくれる万年筆だ。文句なしにオススメの逸品である。
コメント
コメント一覧 (2件)
「ボディは樹脂製だがプラスチックのような質感」、「ボディは樹脂製となっているが、触ってみた感じはプラスチックに近い。」との記述がございますが、樹脂とプラスチックは違う物とお考えでしょうか?
コメントありがとうございます。
プラスチックが樹脂の一部だということは存じ上げております。
万年筆の場合、レジンやプラスチックなどがあるため、イメージしやすいようにプラスチックと記載しました。
広義の意味では同じなので、引っかかりますよね……。
仰るように少し不親切な書き方だったなと思いますので、修正しようと思います。
ありがとうございます。